MENU

2020年度 研究シーズ

鉄道車両・大型建機用の長寿命接点材料の研究

核融合科学研究所・技術部 村瀬 尊則

研究キーワード

接点材料 , 異種金属接合 , 放電プラズマ焼結法

研究概要

本研究で対象とする製品は大電流制御スイッチです。これは新幹線等の鉄道や、建設重機等で使用される接点材料であり、一般に銅(Cu)とタングステン(W)の合金や、銀(Ag)とWの合金が使われています。この材料は、スイッチ材料として、電気伝導性の良いCuあるいはAgと高融点でアーク消耗性の低いWの両方の特性を活かした複合材料です。これらの複合材料と基盤となる母材の鉄製のボルトとの接合はロウ付けで接合されますが、一般にロウ付け法は接合面積率が低く、接合強度が低いことから、接合界面において亀裂や剥離が発生し破損の原因となります。
本研究では、放電プラズマ焼結(SPS)法を用いて上記の異種金属接合を行います。SPS法では、固体間あるいは粒子間に低電圧で大電流を印加することで、粒子間に「火花放電現象」が生じます。この粒子間放電によって生じる粒子表面の局所的な気化および溶融現象を接合駆動力として利用している点にSPS法の大きな特徴があります。さらに特定の還元雰囲気下で接合を行うことにより、接合を阻害する酸化物の生成を大幅に抑制し、比較的短時間で高品質・高強度の異種金属接合を実現します。
これまでの研究で、ロウ付け法と比べて極めて高い有効接合面積が実現できることが分かっています(図1:画像は接合面積100㎜×100㎜の試料の接合界面の欠陥を超音波探傷試験にて可視化したもの)。更にロウ付け面が存在しないことから、熱伝導性および電気伝導性においても優れた高性能接点材の製作が期待できます。

図1: ロウ付け法と放電プラズマ焼結法の接合界面における有効接合面積(欠陥面積率)の比較 ※超音波探傷試験にて接合界面の欠陥を可視化

想定される応用先・連携先

本技術は様々な製品の電極材として応用展開が可能です。想定される応用先として、鉄道車両や、建設重機等の接点材料のみならず、ガス遮断器やタップ切替器、および電磁接触器など大電流を制御する機器類、あるいは放電加工機やスポット溶接機の電極材料としても適用が期待されます。これらすべての製品の長寿命化に貢献できます。

アピールポイント

従来のロウ付け法と比較して接合面積率が高く、接合強度も高いため、接合界面における亀裂や剥離を大幅に抑制します。

関連する特許出願番号・特許番号

特許番号:特許第6563581号
発明の名称:ダイバータ用異種金属接合体

研究シーズを検索・絞り込み