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2020年度 研究シーズ

有機化合物の合成方法

核融合科学研究所・准教授 高山 定次

研究キーワード

生分解性プラスチック , マイクロ波加熱

セールスポイント

  • 生分解性プラスチックに応用でき、従来の技術より短時間製造が見込めます。

研究概要

一般に、原料の重合度に応じて重合反応を変化させながら段階的に重合を行わせるための反応槽を数段にわたって設置させる必要がある。また、200~240℃程度の高温で反応させる必要がある。
本発明は、より温和な条件で、短時間で簡素に目的の有機化合物を得ることが可能な有機化合物の合成方法を提供することを目的とする。

応用事例・使用用途など

サトウキビ、トウモロコシ、生ごみのでんぷんを抽出し発酵させた乳酸を結合(重縮合)させて得られる自然にやさしいプラスチック

研究内容

国立大学法人名古屋工業大学、大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所及び中部電力株式会社は共同で、ポリ乳酸をマイクロ波の非熱的効果を使って素早く製造する技術を開発した。ポリ乳酸とは、サトウキビ、トウモロコシ、生ごみのでんぷんを抽出し発酵させた乳酸を結合(重縮合)させて得られる自然にやさしいプラスチックで、石油由来でないプラスチックとして普及が期待されている。本技術は、プラスチック産業の材料製造工程の低温化・短時間化を実現し、省エネルギーへ大きく貢献する可能性がある。
名古屋工業大学、核融合科学研究所及び中部電力は、還流(温度一定)条件で乳酸(名古屋工業大学分担)の重縮合に、マイクロ波(核融合科学研究所分担)を用いることにより、成功。この過程でマイクロ波の非熱的効果を明らかにするという学術的知見も得られた。また、シングルモードマイクロ波共振器を用いて、マイクロ波を電気成分と磁気成分に分離、各成分がポリ乳酸合成に与える影響を調査し、電気成分が化学反応の促進に、より有効であることを解明した。

■マイクロ波とは
電磁波の一種。一般的には電子レンジで食品などを温めることに使われている。近年、化学反応についても新規加熱法として注目されている。

■非熱的効果とは
マイクロ波化学において、マイクロ波加熱を用いて合成する場合に起きる、熱では説明できない現象を指す。マイクロ波化学は研究の歴史が浅く、正確な定義はあいまいではあるが、非熱的効果に関する過去の報告例の多くは熱伝導速度による熱的な効果として考えられており、さらなる調査が期待されていた。

関連する特許出願番号・特許番号

特願2012-248337、特許第6070091号(2017)

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