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2021年度 研究シーズ

非破壊・低侵襲・高感度なテラヘルツ波アクティブイメージング装置

国立天文台・准教授  小嶋 崇文 国立天文台・特任教授 木内 等 国立天文台・教授 鵜澤 佳徳

研究キーワード

テラヘルツ波 , ヘテロダイン検波 , 多周波信号 , 空間マッピング , 単一検出器

研究概要

国立天文台他では、高感度なヘテロダイン方式かつ検出素子ひとつで、1次元あるいは2次元のTHz波アクティブイメージングを可能にする装置を考案しました。図1に本考案の概念的な実施例を示します。光源装置に、例えば周波数間隔f1のコム発生器を用います。これをフィルターバンクや遅延線路等に接続し、アンテナで放射することで、周波数成分を1次元あるいは2次元の空間にマッピングします。適切な光学系を用いて、このマッピングしたビームを被写体に透過あるいは反射させ、検出装置に入力します。検出装置では、被写体を透過あるいは反射した信号(RF)と、例えば周波数間隔 f2f1とは僅かに異なる)の局部発振波(LO)をひとつの周波数変換器で混合することで、1次元あるいは2次元の空間にマッピングした各周波数成分の信号を高感度なヘテロダイン方式でリアルタイムに低周波信号に変換します(図 2)。各周波数成分に相当する信号の振幅と位相の変化をひとつの周波数変換器で検出可能となるため、1次元あるいは2次元の被写体イメージの取得が極めて簡便になります。これまでに図3に示す原理実証に成功しています。

図1:多周波信号を空間マッピングするテラヘルツ波ヘテロダインイメージング装置概念図
図2:ひとつのヘテロダイン検出素子(周波数変換器)による多周波信号の検出方法
図3:原理実証の概略図

想定される応用先・連携先

高感度THz波イメージング装置用のラインセンサやエリアセンサを簡単な構成で実現することで、従来可視や近赤外域あるいはX線イメージング装置では不可能だった物体の透過イメージングがリアルタイムで可能となります。例えば、低誘電率の物体に埋もれた、他の低誘電率物体のイメージ検出(プラスチック中の気泡やクラックなどの検査)が容易となる可能性があります。

アピールポイント

  1. 従来のイメージングでは、1次元あるいは2次元に配列した多数の検出素子が必要でしたが、本イメージングで必要な検出素子は1つです。
  2. マイクロ波技術であるヘテロダイン検波を用いるため、振幅・位相情報をリアルタイムで取得でき、直接検波方式に比べ高感度です。
  3. 被写体が一様な誘電体材料の場合には、分光特性(複素誘電率)を取得することが可能です。

関連する特許出願番号・特許番号

特許番号 :特許第6706790号
発明の名称:テラヘルツ波イメージング装置

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