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2021年度 研究シーズ

ヒト定位脳手術のための新規記録電極の開発

生理学研究所・教授 南部 篤

研究キーワード

定位脳手術 , 脳深部刺激療法(DBS) , パーキンソン病 , ジストニア , 運動異常症

研究概要

進行期パーキンソン病やジストニアなど薬剤で治療が難しいヒトの神経難病に対して、脳深部を小さく壊したり(凝固術)、刺激電極を留置して24時間刺激を行う(脳深部刺激療法、DBS)といった脳外科的な治療法が有効です(定位脳手術)。MRIなどの画像診断によって大まかにターゲットを決めた後、記録電極を脳内に刺入、神経活動を記録し詳細にターゲットを決め、実際に凝固あるいは刺激電極を埋めるという手順をとります。その際、単純な記録では脳部位の正確な同定が難しい場合があります。本研究では、ニホンザルを用いた実験により、記録電極に刺激電極を貼り付け、記録部位の近傍を刺激、神経活動を記録すると(図1)、脳部位に特異的な反応が記録できることを明らかにしました(図2, J Neurosci, 2013)。この知見を応用することにより、電極先端部が存在する脳部位を同定することができます。今後は、ヒト患者へ適用し、実際に役立つか検証を行います。

図1:サルの実験セットアップ。記録と刺激ができる電極(丸内)を、大脳基底核の淡蒼球外節(GPe)、内節(GPi)に刺入する。
図2:局所刺激による神経活動の反応を記録をすると、GPe(上)では抑制と興奮が観察されるのに対し、GPi(下)では抑制のみが観察される。GPiは定位脳手術のターゲットとなるが、GPeはならないので、これらを判別することは重要であるが、実際の手術の際は困難な場合もある。

想定される応用先・連携先

定位脳手術を行なっている医療機関、定位脳手術の記録装置•記録電極等を開発・製作・販売している医療機器企業。

アピールポイント

パーキンソン病の有病率は人口1000人あたり1人、60歳以上でみると100人に1人になり、超高齢社会の日本では大きな問題になっています。パーキンソン病やジストニアに対する定位脳手術の際、ターゲットの同定が容易に短時間に行えるようになり、治療効果が上がると期待されます。
本研究成果により、従来の手法と異なり、記録部位を機械的に容易かつ短時間で同定することが可能になります。

論文情報

  • Chiken S, Nambu A (2013) High-frequency pallidal stimulation disrupts information flow through the pallidum by GABAergic inhibition. J Neurosci 33: 2268-2280. doi: 10.1523/JNEUROSCI.4144-11.2013.
  • Nishibayashi H, Ogura M, Kakishita K, Tanaka S, Tachibana Y, Nambu A, Kita K, Itakura T (2011) Cortically evoked responses of human pallidal neurons recorded during stereotactic neurosurgery. Mov Disord 26: 469-476 doi: 10.1002/mds.23502.

関連する特許出願番号・特許番号

特許番号  :第6300208号
米国特許番号:US10.478.085
イスラエル特許番号:IL238094
発明の名称 :脳における電気的活動取得装置及びその利用

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