ヒーター内蔵型 高性能空気清浄化フィルタ
研究キーワード
活性炭 , フィルタ , 放電プラズマ焼結 , SPS , ヒーター内蔵 , 三次元 , ウイルス吸着 , ウイルス不活化
研究概要
フィルタには、物をこして取り除くという意味があります。例えば、空気清浄機に使用されるフィルタは、花粉やほこり、ウイルスなどの微小な粒子を取り除く役割を果たします。この研究では、そのようなフィルタに、ウイルスを不活性化する機能を追加することが可能です。
この研究では、フィルタの材料として活性炭を使用しています。活性炭にはさまざまな種類がありますが、この研究ではウイルスのサイズ(100nm)に適した細孔が多く含まれた活性炭粉末を使用しています。これにより、従来の活性炭よりもウイルスの吸着能力が向上します。活性炭粉末は、放電プラズマ焼結(SPS)法を用いて成形されます。この際、絶縁材料でも構いませんが、ヒーター抵抗線も同時に成形します。これにより、活性炭フィルタを加熱することが可能となります。また、金属粉末を混合することもでき、フィルタの強度を向上させることができます。
図1は、試作した活性炭フィルタを示しており、内部にはヒーター線が組み込まれています。ヒーター線に電流を流すことで、フィルタの表面温度を80度以上に上昇させることができます。すでに活性炭と熱を使用することで、ウイルスを99.99%不活性化することが実証されています。したがって、この研究で開発されたフィルタは、空気清浄機やエアコンなどに使用することで、ウイルスや細菌などの微生物を劇的に不活性化し、感染リスクを大幅に低減することが期待できます。
想定される応用先・連携先
ウイルスサイズ(~ 100nm)を豊富に含む細孔制御された活性炭を多孔質材として用いることにより、ウイルスの吸着性能を高めることができます。一般的にウイルスは80度以上で死滅するため、80度以上まで熱せられたフィルタは、ウイルスを吸着かつ死滅させる機能を有することができます。
ヒーター内蔵型活性炭フィルタは、主にウイルスの吸着材として適用することができるほか、ウイルス不活化機能を有するフィルタとして利用可能です。
アピールポイント
従来技術として、ヒーターを内蔵した多孔質セラミックス焼結体は存在しています。しかしながら、ヒーターが平面にしか配置できず、多孔質材料の加熱効率が限定される問題点があります。一方、本手法を用いれば、三次元的にヒーターを内蔵することができ、ヒーターの配置の仕方は自由自在です。
また、多孔質材料とヒーターの組み合わせによる従来技術は複数存在しています。しかしながら、従来技術では、発熱体と吸着部が別々に搭載されています。一方で、本手法を用いれば、多孔質材とヒーターを同時に焼結させることができ、発熱体と吸着部を一体化させることが可能です。
関連する特許出願番号・特許番号
特許番号 :特許第7316715号
発明の名称 :フィルタ