MENU

2024年度 研究シーズ

神経機能解析に有用なウイルスベクターの開発と提供

生理学研究所・准教授 小林 憲太

研究キーワード

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター , レンチウイルスベクター , 特定神経路

研究概要

ウイルスベクターは、様々なモデル動物への遺伝子導入を可能にする大変有用な遺伝学的ツールです。神経機能は、複雑な神経回路網によって制御されており、その機能を理解するためには、特定神経路の機能解析を行う必要があります。我々のグループは、これまでに、特定神経路への高効率な遺伝子導入を可能にする新しいウイルスベクターシステムを開発して来ました(図1, 2)。これらのシステムは、国内外の様々な研究室との共同研究でも利用されており、多くの優れた研究成果が発表されています。今後、脳を中心とした神経研究の分野において、こうしたウイルスベクターシステムの需要は益々高くなると考えられます。

図1:二重ベクターシステム。逆行性ウイルスベクターとAAVベクターを二重注入する。 Cre-loxPシステムやテトラサイクリン誘導系(Tet-On/Offシステム) により、特定神経路においてのみ導入遺伝子が発現誘導する。
図2:AAV-AAV受容体相互作用システム。前シナプスニューロンにAAV受容体を強制発現させると、受容体に結合するAAV粒子数が増加し、 結果的に、逆行性の遺伝子導入効率が顕著に上昇する。

想定される応用先・連携先

様々なモデル動物の神経系やその他の組織、培養細胞、などへの遺伝子導入にウイルスベクターの利用を予定している研究室や企業。

アピールポイント

二重ベクターシステムや、AAV-AAV受容体相互作用システムを利用することにより、特定神経路に効率良く遺伝子を導入することが可能になりました。これらのシステムは、国内外の様々な研究室でも利用されており、共同研究による多くの研究成果が発表されています。また、当研究室は、他研究室からの要望に応じて、AAVベクターやレンチウイルスベクターを提供することにより、共同研究を推進しています。これまでに数多くのウイルスベクターを提供しており、研究成果も多数発表されています。

論文情報

Sano H, Kobayashi K, Yoshioka N, Takebayashi H, Nambu A (2020) Retrograde gene transfer into neural pathways mediated by adeno-associated virus (AAV)-AAV receptor interaction. J Neurosci Methods 345:108887.

Kobayashi K, Kato S, Kobayashi K (2018) Genetic manipulation of specific neural circuits by use of a viral vector system. J Neural Transm (Vienna) 125:67-75.

研究シーズを検索・絞り込み