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2020年度 研究シーズ

マイクロ波・ミリ波帯の電気的絶縁導波管

核融合科学研究所・教授 下妻 隆 核融合科学研究所・教授 久保 伸 核融合科学研究所・技術部長 小林 策治

研究キーワード

マイクロ波 , ミリ波 , 導波管 , コルゲート導波管 , 絶縁 , 誘電体被覆 , 気密性

セールスポイント

  • 不要モードの発生や外部への電磁波の漏洩を抑えつつ、伝送路を直流的に絶縁できる導波管を提供します。
  • 導波管内部の気密性が確保でき、内部を真空にしたり、耐放電性のガスを充填でき、伝送パワーを向上できます。

研究概要

マイクロ波からミリ波帯の大電力の電磁波を長距離伝送するオーバーサイズコルゲート導波管伝送系において、直流的に絶縁が必要なときに、電磁波の漏洩や不要モードへのモード変換を極力抑えられる絶縁導波管を提供します。

ミリ波帯での電気的絶縁導波管外観図

応用事例・使用用途など

ミリ波発生系と反応炉などの入射対象系との電位が異なるため、直流的に絶縁を取りたい場合があります。本絶縁導波管はその様な系において数百ボルト程度の耐圧で絶縁をすることができます。さらに、導波管中を伝搬するミリ波の漏洩は、-60dB程度以下に抑えられるのでメガワット伝送でも安全です。

絶縁導波管の断面図

研究内容

対象とする電磁波の波長領域はミリメータ領域、すなわち周波数として100GHz程度以上、伝送パワーレベルとしてはメガワット級を想定しています。このような電磁波の低損失長距離伝送には、伝送パワー密度の制約と損失の大きさより、通常の矩形の基本導波管は使用できず、オーバーサイズ(波長に比べて直径が十分大きい)の円形コルゲート導波管を用い、伝送モードとしては低損失のHE11モードを使用します。さらにこのコルゲート導波管は管壁に形成されている溝構造の寸法を適当に選択することにより数十GHzに渡る広帯域での低損失伝送を可能にします。このような広帯域伝送が可能な円形コルゲート導波管では、構造寸法が波長に依存する従来のチョークフランジ構造の使用は適当ではありません。
本絶縁導波管は、このような導波管系において、電位の異なる部分を直流的に絶縁するための導波管ですが、絶縁体として硬質アルマイト加工した金属スペーサを用いたところに特長があります。これにより、シール材に金属Oリングが使用できるため、超高真空や高温使用にも対応できます。また、電磁波の漏洩は-60dB以下に抑えられ、簡単な電磁波遮蔽を施すだけで、漏洩波は人体に安全なレベルまでに低減することができます。このような絶縁導波管は、マイクロ波やミリ波を用いた焼成炉、反応炉や核融合装置の電子サイクロトロン共鳴加熱システムにおいて使用可能です。

関連する特許出願番号・特許番号

特願2007-082689 特許第4825981号(2011)

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