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2021年度 研究シーズ

脳波コンシステシー特性に着目したヒトの個人認証、および、個人特性と内部状態の推定

生理学研究所・教授 北城 圭一

研究キーワード

脳波 , コンシステンシー , 個人認証 , 個人特性 , 内部状態 , 統計的機械学習

研究概要

ヒトの脳波は、脳への同一の時系列の感覚ノイズ、例えば、視覚ノイズの繰り返し入力に対して、その初期状態に関わらず、特定条件下では過渡応答を経て再現性の高い信号出力を示します。この現象はコンシステンシー(一貫性)と呼ばれ、半導体レーザーを含む一部の非線形システムでみられる興味深い現象です。本研究では、この脳の非自明な非線形ダイナミクス特性であるコンシステンシー特性に着目し、脳波計測と解析を用いて脳波非線形ダイナミクスを利用した個人認証、および、個人特性、内部状態の推定という新たなサービスを実現します。
開発者らの脳波を用いた研究により、同一時系列の視覚的ノイズの繰り返し入力(共通ノイズ入力)に対して、脳はその非線形ダイナミクスの特性により、個人内でコンシステンシーの高い応答を示すことが統計的機械学習手法を用いたデータ解析によって明らかとなっています。この応答は個人特異的であり、個人認証に応用でき、個人特性や内部状態の推定に用いることができることを明らかにしました。
不規則な脳の自発活動下でも外部入力により誘起されるコンシステンシー特性を利用した個人認証および個人特性や内部状態の推定は新規なブレインマシンインタフェース技術サービスです。入力刺激と統計的機械学習手法を工夫することにより、個人特性や内部状態の推定、さらには集団特性の可視化等へ幅広く展開可能です。

脳波コンシステンシー特性の概念図 (Proceedings of 2014 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications)
多様体学習手法による脳波の個人特性や集団特性の可視化

想定される応用先・連携先

  1. 脳波個人認証:簡易脳波計と併用することによるセキュリティの高い個人認証
  2. 個人特性推定:脳波ダイナミクスの計測と解析による性格特性、認知傾向の個人特性の定量化
  3. 内部状態の推定:動画や音楽に関する嗜好性、注意、記憶等の内部状態の推定

      アピールポイント

      従来手法は100回程度の脳波応答の加算平均から個人認証を行っていました。本研究成果により数秒の脳波の少数の単一試行で極めて精度の高い個人認証、個人特性推定や内部状態推定が可能となります。

      論文情報

      • Keiichi Kitajo, Takumi Sase, Yoko Mizuno, Hiromichi Suetani、
        Consistency in macroscopic human brain responses to noisy time-varying visual inputs
        doi: https://doi.org/10.1101/645499 bioRxiv 2019
      • Keiichi Kitajo, Hiromichi Suetani, Consistency of human brain response to noisy visual inputs.Proceedings of 2014 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications, 443-445 (2014).

      関連する特許出願番号・特許番号

      特許番号  :特許第6712788号
      国際出願番号:PCT/JP2016/065789
      発明の名称 :判定装置、判定方法、プログラム、ならびに、情報記録媒体

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