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2021年度 研究シーズ

イオンチャネル・受容体の機能を修飾する新規薬剤の同定とその作用機構の解明

生理学研究所・教授 久保 義弘

研究キーワード

イオンチャネル・受容体 , In vitro発現系(アフリカツメガエル卵母細胞等) , 電気生理学解析 , 光生理学解析 , 構造機能連関

研究概要

開発者らは、イオンチャネルや受容体等の膜タンパク質の機能発揮のメカニズムの理解を目指して研究を進めています。アフリカツメガエル卵母細胞等の in vitro発現系を用いて、イオンチャネルや受容体の野生型およびその変異体を発現させ、2電極膜電位固定法やパッチクランプ法等の電気生理学的手法により機能解析を行う、いわゆる構造機能連関研究を進めています。
本研究では、イオンチャネルの機能を修飾する薬剤の新規同定を目指して、小分子ライブラリーのスクリーニングを行いました。その結果、Gタンパク質結合型内向き整流性K+チャネル(GIRKチャネル)を、抗寄生虫剤Ivermectin が活性化すること(J Physiol 2017,2018)、抗ヒスタミン剤 Terfenadine が抑制すること(Br J Pharmacol 2019)を新たに見出しました。さらに、変異体の解析により、両者の作用部位を同定し、新規作用機構を解明しました。

想定される応用先・連携先

製薬企業等における、イオンチャネル・受容体に対する新規作用薬の開発とその作用機序の理解

アピールポイント

イオンチャネル・受容体等の膜タンパク質は、薬剤の重要なターゲット分子です。新規薬剤の探索のための大規模スクリーニングは、製薬企業等において、自動化された電気生理学記録装置や、多検体同時Ca2+イメージング等により進められています。一方、その作用機構等に踏む込むためには、ある程度絞り込まれた薬剤の候補となる分子の作用を、正常型と作用候補部位等の変異体を対象として、厳密な電気生理学的解析により明らかにすることが必要です。また、開発中、もしくは既存の薬剤の標的外分子に対する副作用の解析も重要性を増しています。開発者らは、そのような解析に強みを有しています。

論文情報

  • Chen IS, Tateyama M, Fukata Y, Uesugi M, Kubo Y.
    Ivermectin activates GIRK channels in a PIP2 -dependent, Gβγ-independent manner and an amino acid residue at the slide helix governs the activation J Physiol. 595, 5895-5912 (2017)
  • Chen IS, Liu C, Tateyama M, Karbat I, Uesugi M, Reuveny E, Kubo Y.
    Non-sedating antihistamines block G-protein-gated inwardly rectifying K+channels Br J Pharmacol. 176, 3161-3179 (2019)
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